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【書評】『アスパラガスが知っていた』神部アキラ

『アスパラガスが知っていた』

過去に誘拐事件に巻き込まれたカオリ、シンゴ、ゴリがその過去を紐解いていく

350ページにわたる青春ミステリーである。

 

 

 

 

リアリティとフィクションとの間(はざま)に

 

冒頭、カオリとゴリのデート中の会話や心情の描写に妙なリアリティを感じた方は少なく無いはず。

 

 

実は筆者・神部アキラが青春時代を過ごした三重県 楽奈坂(通称 たぬき坂)で、

 

彼が女の子とデートした際の思い出をそのまま作品に反映しているのである。

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筆者はゴリに「自分自身を投影した」と語っている。

(デート中にゴリがお腹を壊してトイレに駆け込むも紙がなくて、家へのお土産のつもりで買っておいた油揚げで尻を拭くシーンも実際に筆者が経験したことらしい。

それだけにゴリの鬼気迫った表情や油揚げの感触が文章から伝わってくるほど繊細に表現されている)

 

 

これは、神部アキラ自身の経験をフィクションと織り交ぜてリアリティをもたせる彼の作品おなじみの手法だ。

 

 

ハードボイルド小説『湯葉』

NHKでドラマ化予定の青春小説『エレクション-たちあがれ!ポンコツ男子吹奏楽部!-』にもこの手法が用いられている。

 

ちなみにゴリの幼馴染であるカオリにもモデルがいるらしいが、詳しくは明かされていない。

 

 

メタファーとしてのアスパラガス

75ページ〜280ページのゴリとの濡れ場では

 

ゴリ自身の"アスパラガス"の状態すらも艶めかしく描かれていた。

 

アダム・スミスもそうであったようにゴリにも性欲がある。

 

その全てをシンゴにぶつけたあの場面には感動すら覚えた。

 

 

 

 

 

最後に

 

終盤、シンゴが脱皮して巣に帰って行くシーンで涙した方も多いはず。

 

 

その後、ゴリが血まみれの油揚げを片手に、「ほぐし足りなかった…」 と言って立ち尽くすその哀愁も素晴らしい。

まさか、あのデートシーンからこうなるとは誰が予想できただろうか。

 

しかし、はじめから終わりまで、目の肥えた神部アキラファンすらをも唸らせた内容であったことは言うまでもない。

 

もし、ファンの方でまだ読めてない方はAmazonで在庫が復活しているのでぜひ読んでいただきたい。

 

もちろん、神部アキラの作品を読んだことのない方にも、読みやすく彼らしさを感じれるのでオススメしたい。

 

 

書評と書いておきながら肝心なことを書き忘れていた。

 

 

 

 

 

犯人はカオリである。

 

 

 

 

また、唯一残念な点はこの作品がそもそも存在しないことだが、気にすることは無い。