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ジャンプ力に定評のある前田

俳人のジャンプ力に定評のある前田が書くブログ

あの夜、僕の胸を撫でた同性の先輩は児童買春で逮捕されていた

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「CD貸してあげるから家においで」

 

部活の先輩にそう言われて

素直に喜んだ当時の自分は馬鹿でした。

 

その誘いにのってしまったことを今でもひどく後悔しています。

少し考えれば簡単に想像できたはずです。

 

彼がジャニーズJr.の写真を集めていたこと、僕達に対する下品なイタズラも度を超えていたことを考えれば、

彼が男性を性の対象としていることや、

そして、夜に彼の家に行くということがどれだけ危険か想像できたはずです。

 

 

 

 

 

 

彼はどんな人物だったか

彼は中学校の部活の先輩でした。

Aさんと呼ぶことにします。

 

Aさんは明るく優しく、好青年と呼ぶのに相応しい人物でした。

その人柄と運動神経を買われてキャプテンとして部活を引っ張る存在で、

さらに可愛い彼女もいて、僕は尊敬していました。

 

ジャニーズJr.の写真を集めるのが趣味だったようですが、それに関しては自分も含めて周りの人は珍しい趣味だなぁくらいに思っていました。

 

そんな好青年の彼の問題を挙げるとすれば

下品なイタズラが時々、度を超えていたということです。

人のズボンを下すくらいは悪ふざけでやる人も多かったのですが、

彼はその執念が人一倍強く、本気で脱がせようとしており、「そこまでやるなよ...」と周囲を引かせていました。そのあたりのコントロールが下手だったんだと思います。

 

ただ、本当に嫌われるような人ではなく、みんなから慕われていました。

 

たった一人を除いては。

 

親友がいきなりAさんを嫌い始めた

それまでは楽しい部活でした。

みんなの仲が良かったです。

しかし、突然彼を嫌い出した人がいました。

 

同じ部活の僕の親友です。

 

「なんで、そんな嫌ってんだよ」と僕はその親友を笑って気にも留めませんでした。

部内のいい雰囲気を壊しかねない親友のAさんに対する露骨な態度にイラっともしました。

 

 

 

先輩に家に呼ばれる

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 ある日「CD貸してあげるから家においで」とAさんに言われました。

僕とAさんはとあるアーティストのファンで僕がまだ持っていなかったCDを先輩は持っていました。

 

僕は喜んで彼のアパートに行きました。夜でした。

彼は駐輪場で待っており、僕が駐輪場に自転車を止めて自転車から降りようとすると

「そのままで」

と言われました。

 自転車にまたがったままの僕のそばに立ち

「叫んだり、誰かに言ったら殺すぞ」

そう言って彼は服の下から僕の胸を撫で始めました。

  

混乱と恐怖で頭の中は支配され、

さらに自転車にまたがった状態という不安定な体勢だったため、

抵抗できませんでした。

 

僕は、しばらくの間胸を撫でられていました。

こういう場合、トラウマになって気持ちの悪い感触が残るものだ思うかもしれませんが、自分の場合は「無」でした。

心を無にして、

ただただ時間が早く過ぎていくのを待っていました。

 

追われないのに必死で逃げる

しばらくして

彼は僕の股間に手を伸ばそうとしていました。

反射的に「やめてください」と手を振り払い、

僕はAさんを尊敬していた、これ以上失望させるようなことはやめて欲しい

ということを彼にゆっくりと話して訴えかけました。

 

反省した表情で僕を離し、

そして、家に帰してくれることになりました。

 

無言で駐輪場から自転車を進めていって、

彼から僕の姿が見えなくなったところで

必死に自転車を漕いで逃げました。

追ってきたわけではありません。

追ってこないのも分かっていました。

それでも家にたどり着くまで必死で自転車を漕ぎ続けました。

 

家に帰りついてもこの出来事は誰にも話しませんでした。

家族に話すのはプライドが許しませんでした。

 

 

翌日もAと部活で顔を会わせるが…

謝ってくれると思っていましたが、

彼はバカでした。

全く反省していませんでした。

次のチャンスを作ろうとしていました。

そんな彼に対して、怒りの感情を抱くだけ無駄だ、相手をするだけ無駄だと呆れました。

 

 

事件発覚

数日後…

 

部活中に生徒指導の先生がやって来て、一人を職員室に呼び出しました。

 呼ばれたその人が数十分後に部活に戻ってきて、また入れ替わりで他の一人が職員室に行きました。

 戻ってきた部員になぜ職員室に呼ばれたのか聞いても「よく分かんない」とその場では曖昧な返事をしていました。

 生徒指導の先生に呼ばれるくらいだから、

こいつら悪い事をしたに違いない...と思っていましたが

しばらくして、自分も職員室に呼ばれたのですぐにその予想は間違っていたと分かりました。

 

生徒指導の先生は話し辛そうに僕に

「先輩のA君に変なことされませんでしたか?」

 と聞きました。

 

僕は

「いいえ。」と答えました。

あんな愚かな人間に変なことをされたということを知られたくありませんでした。

また、少しだけ、彼が男性を性の対象としている事はそっとしておいてあげたいという気持ちもありました。

 その後、Aについての質問をいくつか受けて、部活に戻されました。

 僕はあの夜のことを誰にも言っていなかったので、僕以外の部員の誰かも被害に遭って先生に訴えたんだと感付きました。

 

結局、同級生の部員全員が一人ずつ職員室に呼ばれたのですが

僕の同級生の部員は皆、キャプテンが部員の誰かを襲ったと気づいたはずです。

 

その日の部活は普通に続けられました。

自分のした行動が問題になっているとも知らないAは普通にキャプテンとして指示を出し、そんな彼の正体を知った僕の同級生も皆、彼の指示に従って普通に部活をしていました。

不思議な空間でした。

 

被害者が集まる

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その日の部活が終わって、問題の先輩が帰った後、部室に同級生で集まりました。

そこでは、自分の受けた被害の報告が面白可笑しくなされていました。

被害を受けていたのは自分を含めて、なんと5人もいました。

そのうちの一人は親友でした。

彼が一番最初の被害者で、親と先生に被害を訴えたのも彼でした。

彼の勇気は素晴らしいものです。こういう時に、親や先生に話すのは想像以上に難しいことなのです。実際、彼以外の4人はそれまで誰にも話していませんでした。

 

また、彼がAを嫌っていた理由がこの時になってやっと分かりました。

親友に対する後ろめたさを抱えた自分の心を軽くしたのは、

自分自身も親友と同じ被害者であるという悲しい事実だけでした。

 

話を聞くと自分の被害は最も軽いもので、

他の4人はさらに酷い被害を受けていました。

胸を撫でられるくらいなんでもないと思ってしまうくらい衝撃的な内容でした。

詳しくは書きません。

 

面白可笑しく話せる雰囲気が何よりも救いで、こんな雰囲気ではなかったら誰も自分の被害を話せはしなかったし、聞いてもいられなかったと思います。

 

 彼女がいるのになぜ

Aには彼女がいました。

彼女に対する恋愛感情は確かに持っているようでした。

にも関わらず男性を襲うのは男性に対する恋愛感情からくる性欲によるものというよりも、

自らの性の欲求を満たす都合の良い(身近で、弱くて、同性なら問題になりにくい)存在としての男性をただ襲っているように思えました。

つまり、彼はゲイだから男性を襲ったのではなく、同性だから男性を襲ったということです。

(異性が好きな自分の感覚からすると、いくら同性が都合が良くても、それだけで実際に男性を性の対象としての選択肢に入れて欲求を満たそうとは思えないし、ジャニーズJr.の写真も集めていた事から、彼の中にも男性が好きという気持ちが0ではなかったのではないかと思います。ただ、もちろん襲った男性一人一人に対するリスペクトはないし、恋愛感情も抱いていませんでした。男だったら誰でもいいという感じです。)

 

その後

Aは自宅謹慎になり、部活も休部になりました。

その間、AとAの両親が被害を訴えた親友の家に謝罪に来たようですが、親友の両親は追い返したそうです。当然だ、と思います。

 親友の両親はAに部活を辞めさせるように要求もしていたそうですが、学校側に説得されたのか、彼は部活に戻ってくることになりました。

顧問の先生はAが帰ってこれる場所を作ろうと言っていましたが、それを被害の受けた中学生達に求めるのは酷だったと思います。

 

数日後、彼が戻ってきて部活も再開されましたが、

もう、部内の全員が彼を嫌っていました。

しかし、デリケートな問題でもあるし、どう接していいかも分からなかったため

逆に部員は表面上では彼に優しく接していました。

自分も嫌ってはいながらも彼自身をどうしても憎み切れていなくて、結局、普段通りに接していました。

 

優しくされることで調子に乗ったAはバカなので、男性を襲うのをやめることはありませんでした。

学校に発覚する事はありませんでしたが...

A以外の先輩も、彼をどうすることもできないといった感じでした。

 

 

3年後…

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僕が高校2年生の時の元旦の出来事です。

誰かから初メールが届きました。

送ってきたのはAでした。

Aからメールが来たのは初めてです。

アドレスをそもそも教えていなかったので。

  

メールの内容は

僕に要求するいくつかの"行為"に対価としての金額をつけて提示し、身体を売るように求めるものでした。

 

いやですと断ると

「じゃあ何もしないからカラオケ行こう」

と返ってきました。

CDの次はカラオケかよと思いました。

当然、断りました。

 

ひさしぶりに彼に会って話ができる! 

メールを開く前にそんなことを少しでも考えた自分が恥ずかしかったです。

 

 

さらに5年後

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僕は京都の大学に進学しました。

就活で地元に帰省した際に、新聞を見てみると彼の名前が載っていました。

 

SNSで知り合った男子児童にチケットをあげると持ちかけて淫らな行為に及んだとありました。

 

もう驚きはしませんでした。

普通にああ、やっぱりかと思いました。

記事をよく見ると再犯とありました。

自分がこうやって知る前にも一度、捕まっていたようです。

性犯罪の再犯率は高いです。

彼は中学時代から今まで、"再犯"を繰り返して生きてきたように思います。

 

何度痛い目を見ても過ちを犯してしまう。

僕は悲しくなりました。

何が彼をそうさせるのか。

彼のやった事は許されないがこれは彼だけの問題だろうか。

中学生の自分はどうしたら彼を救えていたのか。

 

答えはまだ出せません。 

 

中学生という時期は性に目覚める多感な時期です。

その時期にもしかしたら彼は外部からほんの小さなキッカケを与えられてしまっただけなのかもしれません。

たったそれだけのことかもしれません。


暴走する彼を止める優しさや厳しさがもっと必要だったかもしれません。

誰かが彼の話をよく聞いてあげるだけでよかったのかもしれません。

たったそれだけでよかったのかもしれません。

 

 

もし同じような被害を中学生のあなたがうけていたら

 

親や先生に話すのが一番です。とても勇気がいることですが、あなたの勇気によってあなただけでなく他の被害者も救われるかもしれません。

 

それができないという人はせめて、笑い話にしてでも友達に話してみて下さい。いつも通りの下ネタを話すように。

 

親や先生に話せなかった僕も

笑い話にすると友達に話しやすかったです。

気持ちが少しだけ晴れます。

もしかしたら、その状況を変える動きが生まれるかもしれません。

 

この記事の場合はどちらかと言えば同性を都合のいい性の対象として見ている人が加害者でした。

仮にもしこれが同性を恋愛の対象として見ているゲイであった場合でも

 

貴方が無理やり身体を触られたりしたらそれはもう犯罪行為をされているわけです。

被害を受けたら、受けそうなら、受けている人を知っていたら笑い話にしてでもいいから誰かに話しましょう。

 

同性愛を笑う様なことはあってはならないし、
まだまだ同性愛に対する理解が進んでないこの社会で、人にむやみに言いふらすことも好ましいことではありませんが、自分自身が犯罪行為から身を守るために誰かに話してみるという権利はあります。 

 

そして、もし出来たら、本当に出来たら...の話ですが

加害者も救ってあげてください。

僕ができなかったことです。